秋の日誌

Autumn Journal

資本主義の先へ

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2018年7月15日(日) 晴れ

1990年の時点で経済学者の岩井克人は、社会主義の崩壊を“完成に向かう世界資本主義の運動”と捉えていた(「終わりなき世界」、太田出版)。極めて適切な分析であったと今なら思えるが、当時、十代後半だったわたしには、インターネットによる市場のグローバル化後の世界の在り様を予測することなどまったくできなかった。まして、「世界資本主義=グローバリゼーション」の行き着く先に、保護主義復活の兆しが現れるなどとどうして想像できよう。あろうことか、その急先鋒がアメリカであり、中国が自由貿易主義の擁護を始めようなどとは。

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資本主義は国家の支えがあってこそ花開く。あるいは最後の貸し手である中央銀行の存在があってこそ。ドイツの経済ジャーナリスト ウルリケ・ヘルマンの立場からすれば、いわゆる新自由主義者の思想は、市場経済という無邪気なフィクションに基づいた単なる空想に過ぎないことになる。グリーンスパンからバーナンキの時代が終わり、いまやジャネット・イエレンがFRBの議長だ。資本主義の「解釈」がぐるぐる変わるたいへんスリリングな時代である(2016年2月28日)。

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アメリカ合衆国を軸とした世界秩序に大きな変化が訪れている。いまや、中国の政治的・経済的な台頭を無視して世界情勢を語ることは完全に不可能だ。IMFのSDRに人民元が組み入れられ、COP21では中国が環境問題を外交戦術のカードにすり替えるべく着々と準備を整えている。他方、EUの政治・経済秩序にも綻びが見え始めている。さらに、中東・シリアの混沌は、人類史上例のない形態での戦争勃発を予告しているようである。2010年〜2015年までは主として資本主義経済の進化の行方に関心を持ってきたが、これからは、いわば、第二の冷戦といえるような政治的緊張の時代に突入するのだという予感を持っている(2015年12月5日)。